個人的お絵かき作業過程



 正直言って上手い方からは突っ込みまくられると思うんですけれど。要望に答えして、自分の作業過程の解説をしたいと思います。
 フィーリングで描いているあまりここでは書けなかった部分もたくさんあります、例えば色塗りの部分とか。そこが知りたかった方はごめんなさい。
 あと、早く描き上げたい人にはこの方法はオススメしません。自分でもかなりいらん手間をかけていると思うので。もっと早く描ける方法を知っている方がいたら教えてもらいたいくらいです。



使用ツール :adobe photoshopCS
タブレット :wacom intuos2
PC :SHARP Mebius muramasa 1.3Ghz/メモリ750MByte


タブレットの設定は、タブレットのペンについているボタンを、
一つはキーストロークでSpaceキー。
もう一つをAltキーに設定しています。

Photoshopにおいて、
Spaceキーは[手のひらツール]のショートカットで、Altキーは[スポイトツール]のショートカットです。
タブレットの設定は、タブレットのプロパティであらかじめ設定しておきます。


※1 文中では、Photoshopの機能を黄色、ショートカットを水色で表示しています。

※2 サムネイルをクリックするとフルサイズの画像が見られるようにしました。こうしないと文字が潰れちゃうので。

作成:2006/8/18

はじめに




 今回は夏らしく、つるつるすべすべなシャチを描きたかったんで、まずは資料集めから。
 資料が手元にある場合はそれを利用するのが一番いいんですけど。そんなにたくさん持っているわけじゃないのでネットで入手する場合が多いです。
 グーグルのイメージ検索で「シャチ」「orca」とか適当なキーワードを入力して写真や絵を集めます。
 そうやって集めた資料はマイピクチャあたりにフォルダを作って放り込んでおくと便利です。

 フォトショップCSにはメニューに[参照]コマンドがあって、[開く]とは別系統になってて便利。絵のファイルと資料ファイル置き場の間をいちいちさ迷わなくてすみます。



 さて、[ファイル]→[参照]ファイルブラウザを開いて、資料のピクチャを呼び出します。



出した資料は、ドラッグ&ドロップで絵を描くファイルに放り込んでおきましょう。自動的にレイヤーになります。
この絵はRGBカラーで書いているので、GifやPngのようにインデックスカラーで作られたファイルは[イメージ]→[モード]でRGBカラーにしないと放り込めません。

1:下描き



 それらの資料をもとに、下書きを描きます。
 最初はうだうだと超適当に描きながら漠然とテーマを決めていきます。普通、この時点で2〜3枚は没が出ますけれど、今回はわりとすんなり決まりました。

 ペンタブレットは、手元ではなく画面を見ながら描かなくてはいけないので、なかなか思った通りの線が引けないという難点があるわけですが、これはもう仕様と思って諦めるしかない。奮発して液晶タブレットを買うという手もありますが、値段が跳ね上がるのが難点。
 普通のタブレットも書き味はあまり褒められたものじゃないですけれど(最新のintuos3はかなり良くなっているという話)、上に紙とか載せても描けるので、自分はケント紙を乗せて描いています。こうすると描き味も良くなるし、表面の保護にもなります。そのかわりペン芯の減りが早くなるという欠点もありますけれど。


 タブレットで下描きを描くときは、全画面が入るようにして、[やや太いブラシ]でいくつも線を描いて、[消しゴムツール]で形を整えるというやり方をとっています。
 何で下書きまでPC上でやるのかといえば、レイアウトのやり直しが容易だから。という事に尽きます。あと、左右反転して形の崩れなんかの修正も簡単に出来ます。しかし、絵の上達を望むのであれば紙の上でレイアウトの訓練をした方がいいと思いますけれども。






 体と服と髪を別レイヤーで描くと修正がしやすいですね。服の下の体をある程度描いた方が、服を描く時にも便利です。ごちゃごちゃして分かりづらい時には、[レイヤーの不透明度]を下げれば見やすい。



 そんなこんなで下書きが完成。この時点で画面のレイアウトはきっちり決めておかないと後からの修正が大変になるので注意!
 下書きレイヤーは要らない部分を消して統合するか、レイヤーセットを作ってそこにまとめておくと便利です。

2:ペン入れ




 ペン入れは下書きレイヤーの不透明度を下げて、新たにペン入れ用のレイヤーを作成して描きます。下書きはあくまでアタリなので、細かい部分はこの時に書き加える事が多いです。だから下書きとペンの線が重なってないですね。
 ペンは、[一番細いブラシツール]を不透明度・流量MAXにして使用。




 長い曲線をなめらかに描きたい時はパス([ペンツール])を利用する時もあります。







 さて、ある程度ペン入れが済みましたが、ここから仕上げに入ります。
 この絵では線の交わる所がちゃんとふさがっていません。これを一つ一つきっちりふさいでいきます。



 こんな風に。画風によってはしなくてもいいことですけれども。







 ようやく線画が完成。丸坊主なのは髪の毛は後で描くからです。








 線画の下に新規レイヤーを作成して、中を真っ白に塗りつぶします。
 そして[自動選択ツール:許容値35くらい、アンチエイリアスと隣接オン]で絵の外側を選択。この時に輪郭をちゃんとふさいでいないときれいに選択できません。拾いきれない部分はシフトキーで追加選択。きれいに選択できなければ、上記の輪郭ふさぎをもう一回やります。








 選択領域を黒で塗りつぶします。これは分かりやすいように不透明度を落としてありますが…。この状態で、ブラシツールで修正するのもいいですね。






 この白黒のレイヤーを[選択範囲]→[全て選択]してコピー(Ctrl+C)して、
 [チャンネル]内部に作成した[新規アルファチャンネル]の上に貼り付け(Ctrl+V)します。






 アルファチャンネルは選択範囲を記憶するので、色塗りの際にとても便利です。
 同じようにもう一匹のシャチもアルファチャンネルに登録。
 元の白黒レイヤーは捨てちゃいましょう。





 レイヤーが増えてくると処理速度がどんどん落ちてきます。そうならないためにもいらないレイヤーはどんどん捨てた方がいいですね。この時点で下書きレイヤーも捨ててます。

3:色塗り



 [選択範囲]→[選択範囲を読み込む]でアルファチャンネルを呼び出して、中を塗りつぶします。





 衣服とかは新たにフリーハンドで描かないといけないです。
 選択範囲を保ったまま新規レイヤーを作って、分かりやすい色で塗りつぶしていきます
 そうやって色レイヤーをいくつも作っていきます。色レイヤーをたくさん作るのは、後々の修正がしやすいからです。自分の場合色決めは最後までもつれる傾向があるので。
 もとから色まで全部決まっている場合はここまでしなくてもいいんですけど。


 どんどん増えていく色レイヤーの恐怖




 ここまでいったらあとはひたすら塗るだけです。
 各色レイヤーの[ロック]をオンにして、透明領域を保護します。

 最初は大まかに塗ってイメージを掴みます。



 この時点で開始から5時間経過。

 それをしっかりと塗りなおし。
 ブラシツール、指先ツール、色調補正をフルに使って描いていきます。髪の毛も修正。
 色決めもこの間にやってます。



 開始から9時間経過…。



 最後に背景を書き加えて完成。泡は[範囲選択]→[編集]→[ブラシを定義]でブラシを作って作成。



 所要時間12時間。
 今回はこのページ用にキャプをとりながら描いた事、画像途中の修正が多かった事、つるつるすべすべ感を出すための試行錯誤が多かった事が時間がかかった要因でした。
 やっぱり仕上げをきっちりやろうとすればするほど時間はかかります。


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