首輪
乱入人:作



 今日はちょっとした掃除をしていた。

「さてと、次は倉庫の掃除かな。」

 独り言を言いながら、鼻歌交じりに倉庫を整理していく。

「キューン、キューン 私の彼はパイロット〜♪」

 懐かしいメロディーに乗せて手早く整理していく私・・・

「あれ?これは何だろう。」

 見つけたのは少し小さい革のベルト,犬の首輪だろうか?

「・・・懐かしいな。ポチの首輪か。」

 3年前に死んだ、私の家族の遺品・・・あまりの懐かしさに、つい自分の首に首輪を巻いて固定してみる。

「ポチ・・・まだ生きててほしかったなぁ。」

 事故で死んでしまったので悲しみはかなり深かった。

ボワッ・・・

 いきなり地面に魔方陣が描かれた。

「な・・・何?」

 体から青色の獣毛がざわっと生えてくる。首輪は・・・もうがっちり締まっている。その上、手も犬の手に変形してきていた。

「わんわわわぉうわわぉん!(何よ何が起こっているの?)」



 口や耳も、とがったりせり出したりして変形して、どんどん体も小さくなっていく。

 ビリッ・・・

 お尻から尻尾が生えてきて、両足が変形し,2本足では立てなくなってしまう。
 ごりごりごりごり・・・

「あぉぉぉん・・・。(あぁぁぁぁ。)」

 体が変形していき、その痛みがまた何とも心地よい。
 手も足も地についた時,服は魔方陣の中へと消えていった。

「ポチ?どこにいるのポチ?」
「わんっ!!」
「あ、こんな所にいたんだ。今日は皆で墓参りするのよ。貴方もいらっしゃい。」
「わぉん?」
「今日は貴方を守って死んだあの子の3回忌だから・・・連れて行ってあげないとね。」

 何で涙を流しているんだろう?舐めたらいいのかな?
 ぺろぺろ・・・

「ありがとうね、ポチ。」

 ご主人様の腕の中で抱かれながら、いなくなった友達を思うポチなのでした・・・。