イルカさんのお誘い
乱入人:作
綺麗で幻想的な海、ハワイの印象はそんな所・・・今は知らないけれど、少し昔はイルカさんが『一緒に泳ごう』って誘ってくれたわね。あの頃が懐かしい。この話は、私がもっと余裕があった時に行った旅行でのお話。
あの頃、私は趣味でよくスキューバダイビングに行っていた。ダイビング免許も持っているため、一人でも潜る事が出来た。その為、一人きりで華麗に優雅に泳ぐ事が出来たのだ。
きゅぅ〜♪きゅぅ〜♪
(わぁ〜、かわいいイルカさん。私と泳ごうって言ってくれているの?)
きゅぅ〜い♪
素潜りのため、息が続くまでの少しの間だけ一緒に泳いで海面に出る。それを何回も続けていく。
ぷはぁ・・・ハァハァ・・・。
何回も泳いでいると息が荒くなってくる。
きゅぅ〜い・・・
「はぁはぁ、イルカさんは悪くないのよ。私の息が続かないのが悪いから。」
きゅぅ〜い!!
まるで『ついて来て』とでも言いたげに、私の背中に鼻面を突っついてきた。
ドボンッ・・・。
これで潜ったのは何回目だろうか?周りはいつの間にかイルカ達が集まってきていた。
きゅ〜い
ある程度の深さまで潜ると、『ちょっと待っててね』と言われたような感じがした。言われたのか分からないが私はその場で待つ。
ゴボ・・・ゴボ・・・
あ・・・危ない、もうそろそろ息が・・・。意識が切れ掛かった所で、深くまで潜っていたイルカさんが猛スピードで私の所までやって来た。
きゅ〜い・・・。
イルカさんは私に口付けをし、息を吹き込んでいく。漏れた空気はまるで黄金のように光り輝いていた。
『イルカさん、ありがとう。』そう意思表示をしようとした時、変化は起きた。
急に足が閉じると、接着剤がくっついたようにくっついて、水着が破れた。色がイルカさんと同じ深い紺色に包まれていく。そして、どんどん変形し泳ぐための尾っぽになっていく。背中がちょっとうずいたかなと思うと、一気に背鰭が伸びてくる。手も変形しこちらは胸鰭だろう。そして、体は肥大化し胸を守っていた物も、守る物も消えてしまった。髪の毛はそのままだから不思議だ。
きゅぅぅぅ?(大丈夫?〉
私がイルカになったため、彼の言っている事も分かるようになった。
きゅぃぃぃい♪(大丈夫よ♪〉
こうして、私はイルカとしての数日を過ごしたのであった。え?人間に戻った時?結構大変だったわぁ。
水着は破れていたし、ボートは流されていて行方不明扱いになっていたし・・・。一応、三面紙に載るほどの有名な事件になったのよ。けど、本当に楽しかった旅行だった。また、イルカになってあの大海原で何時までも泳いでみたいわ・・・。
『大昔のハワイの姿』から一部抜粋、イルカに誘われた女の人のインタビューより・・・